書くネタが無いので最近読んだ本をまとめてみる。
ルルとミミ/夢野久作
鐘造りの父が身を投げてから、二人きりで暮らしていたルルとミミという兄妹の物語。乙女の本棚シリーズ。
夢野久作というと「ドグラ・マグラ」のイメージが強く、読んでもあんまり意味が分からない作家さん…という印象だったが、この作品は分かりやすかった。
童話だからかな。
いわゆるメリーバッドエンドで、全体的に儚い雰囲気。
イラストも作品に合っていて素敵。シックな色合いの挿絵の童話も良い。
哀しい結末だけど、2人が再会できて楽しく暮らしていれば良いなと思う。
フェイク・インフルエンサー/白烏あずさ
SNSでの投稿で人気を増やし続けるガールズバンドのボーカル・叶多。
ある日、叶多の過去にまつわる記事がネットニュースに流れたことから殺人事件に巻き込まれていく―。
InstagramのようなSNSへの投稿でバンドが人気になっていくという現代っぽさが出ている作品。
「スマホのない青春を送った人たちこそ総じて不幸だ。こんなにも便利で楽しくて夢のあるものはないのに。これ一台で私たちは モデルにもミュージシャンにも女優にも映画監督にもなれる」という文章が印象的。
現代は確かスマホ1つでモデルにも女優にもミュージシャンにもなれる、すごい時代になったものだ。デビュー作とは思えないほどどんでん返しが組み込まれていたり、ちゃんとミステリーしていて面白かった。
どろどろした部分も多く気が重くなったが、最後には希望が見えて良かった。
風は山から吹いている/額賀澪
高校時代にスポーツクライミングで名を馳せた岳。大学生になったある日、高校時代のコーチからの無言電話を受けたあと、コーチが滑落事故に遭ったことを知る―。
今年の香川県公立高校入試に出題されていたと額賀さんがXで呟いていて気になったので読んでみた。ミステリーなのでどろどろした感じで進むかと思いきや、ラストはなんだか山頂で良い景色を見たときのような爽やかな気分になった。
みんな何かしら闇を抱えているけれど、それにきちんと向き合わなければいけないときは必ず来る。
ちょっと登山したくなった。登山は高尾山しかしたことがないので山は詳しくないが、ちょっと調べたらキャラクターたちが登っている山がすごすぎてびっくり。
こうまとめてみると普段からミステリーばかり読んでいるんだなと思った。景気が悪いとホラーは流行らないと言うが、ミステリーばかり読むのは私の日常が平穏だという証拠かもしれない。